離婚時の契約書・誓約書
離婚協議書
1.離婚協議書とは
日本では、離婚届を最寄りの市役所に提出すれば離婚は成立しますが、離婚後に「言った」「言わない」といったトラブルや「教育費の支払いが滞る・支払い額が減った」等のトラブルは回避できません。
そこで夫婦間で話し合いをした上での書面を残しておくことが重要となります。
その書面のことを離婚協議書といいます
2.離婚協議書に書くべきこと
3.離婚協議書の保管方法
決めた内容については 当事者同士の合意文書として、離婚の後も何年間も残ります。
様々な証拠として使えますので、作成したら大切に保管しておきましょう。
子供について
親権
未成年の子供がいる場合、離婚前に親権を決めないと離婚はできません。
離婚届にどちらが親権を持つのかという記載項目があり、記載がない場合離婚届を受け付けてくれません。
また、子供が複数いる場合には、それぞれに親権を決められます。
養育費
親には、未成年の子供を養育する義務があり、これは親権の有無とは関係がありません。
養育費の支払いは「一括で支払う場合」と「毎月定額で支払う場合」があり、一般的には、「毎月定額で支払う」方法を採用する場合ほとんどです。
また、毎月支払う場合は支払期間(大学を卒業するまで・義務教育が終了するまで等)の
話し合いが必要です。
※養育費を支払われない場合、裁判所に申し立てすることができます。
面接交渉権
離婚後に子供と離れて暮らすことになった親が子供と会ったり、電話等で交流することを取り決めることができます。
取り決め方としては週、月あたり何回というように決められます。
そのほかに、宿泊を含めた面接交渉を認めるのか、長期的な休み時に旅行などを認めるのかを話し合い、取り決めることができます。
慰謝料について
婚姻中に精神的苦痛を与えられ、離婚の原因を作った側に対して請求するものです。
そのため、とくに理由がなく合意しての離婚をした場合には発生しません。
また、慰謝料を請求する側にも過失がある場合には、過失相殺される場合もあります。
財産分与について
清算的財産分与
婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を分け合うことです。
名義が夫名義になったとしても、妻の協力や貢献によって形成維持された財産は、夫婦共有財産となります。
そのため、この清算的財産分与が財産分与の中心となります。
扶養的財産分与
妻が専業主婦が離婚後、経済的不安定に可能性が高いのが現状です。
そのために、妻が自立するまでの援助として請求することができます。
なお、扶養的財産分与が認められる場合と、認められない場合があります。
年金分割について
当事者の合意により、最大2分の1の割合で分割が可能になります。
離婚協議書公正証書
1.離婚協議公正証書とは
公正証書は、法律の専門家である公証人が法律に従って作成する公文書のことをいいます。
離婚公正証書とは、離婚の際作成する離婚協議書を公証人に公文書化してもらったものです。
公文書ですので当事者のみで作成した書類に比べ、高い証明力があるうえ、離婚協議書とは違い、相手が約束通り金銭を払わない場合、離婚協議書では裁判をしなければいけなかったのが、公正証書には裁判をすることなく相手の給料や貯金を差し押さえすることができる「強制執行力」があります。
2.公正証書にした方が良い場合
- 養育費の支払いがある時
- 分割払いの慰謝料金の支払いがある時
- 一括払いの慰謝料金の支払いがある時
- 財産分与の取り決めを明確にしたい時
- 年金分割の約束がある時
- 金銭の支払いの約束に連帯保証人がいる時
- 強制執行の効力を持たせたい時
- 面接交渉の約束を明確にしたい時
- 不動産の財産分与を明確にしたい時
- 養育費や慰謝料に連帯保証人を立てた時
和解契約書・示談書
1.和解契約書とは
和解契約とは、当事者双方が互いに譲歩し、もしくは相手方が譲歩するから自分も譲歩するというような対価関係に立っているので
有償契約といえます。
したがって、売買の担保責任に関する規定はこれに準用されることになります。
また、当事者双方が譲歩して合意したことを実現する債務を負うということですから双務契約といえます。
加えて、和解契約は、当事者間に存在する争いを止めるために互譲の合意で成立し、それには特別な方式は要求されていませんので、諾成かつ不要式の契約であるといえます。
2.示談書とは
示談とは、私法上の和解契約と同様に、裁判によらないで当事者間の紛争を解決することで当事者の合意を前提とすること、及びその効果の点では、示談は私法上の和解とは変わらないのですが、示談の場合は、必ずしも争いのあることを前提とせず、むしろ、その後に争われる可能性のある損害の数額についての紛争を避ける目的でなされる点につき、和解契約と類似しているといえるでしょう。
したがって、示談も民法の和解に関する規定の適用され、いったん示談をすれば、特段の事情がない限り、被害者は賠償請求権を放棄したものと認められることになります。
3.和解契約書・示談書はどんな時に作成すればいいのか?
慰謝料支払いについて話し合いが終わったとき、
和解契約書(示談書)を作成した方がいいです。
4.示談書・和解契約書がない場合起こりえるトラブル事例
- 慰謝料を支払っても支払っても請求をしてくる。
- 不貞行為があったこと会社に言いふらされる。
- 慰謝料の支払いがなくなった。
5.和解契約書・示談書はどういうことを書けばいいのか?
- 和解契約書や示談書を交わす原因となった事実関係を明確に特定する。
- 和解契約書・示談書を作成するにあたり、何を目的とするのか?
- 慰謝料の支払いはあるのか?
- 和解契約・示談内容を違反した場合、どういった対処をするのか?
- 和解・示談後はどういった対応をするのか?
等、状況に応じで記載してください。
6.和解契約書・示談書の作成時の注意点
- 法律的に無効とならないように留意する必要があるので、
何でも書いてはいいというものではありません。 - 和解契約書・示談書は2部作成し・お互いに保管をしてください。
また、証人などがいる場合は3部作成し、保管するようにしてください。 - 金銭の受渡しが完了するまでは、示談書・和解契約書に署名・捺印はしないようにしてください。
- 印鑑は、実印でも認印でも法律上の効力は同じです。